アルツハイマー型認知症の薬が開発されています

アルツハイマー認知症の場合、原因が解明されていないことから、その症状を改善することは困難です。
しかし、数年前から脳の循環や代謝を改善する薬が多数開発され、多くの患者さん方に対して使われるようになってきました。

これらの薬は確実な成果をあげつつあります。
しかし、認知症の中核症状である知能の低下に対して薬は作用するわけではなく、認知症にともなう譫妄や暴力といった精神症状および行動異常に対して効果的に作用するにすぎません。これらは周辺症状といいます。

認知症にともなう知能低下を改善する薬は、現在のところ開発されていません。
知能低下に対する治療には、脳の神経細胞の再生を促進し、失われた脳の機能を蘇らせる薬を使用することが必要です。
または神経と神経の間の情報連絡を活発にして、脳の働きを活性化するような薬が必要なのです。

最近期待が寄せられている研究は、神経細胞が分裂、増殖するのに必要な因子に関するものです。
これを神経成長因子といいます。

これが認知症の治療に有効ではないかと考えられるのです。
脳の細胞は本来、増殖することはありません。
一度死滅すると、二度と再生できないと考えられています。

しかしダメージを受けてはいるもののまだ死滅するにはいたっていない神経細胞が回復するのに神経成長因子が有効ではないかと考えられるのです。
この研究は、まだ動物実験段階ですが、改善効果があったという報告があります。